楽天モバイルを契約し、Rakuten Miniを使用しています。キャッシュレス決済用端末として便利に使っています。
現在のところは、毛流麦花の行動範囲では楽天モバイルの回線が使えていますが、大半がパートナー回線(KDDIのLTE Band 18)での接続になっています。楽天モバイルはKDDI回線でのローミング提供を順次終了しており、いずれ圏外になるのは避けられないので、そうした場合に備えて、Rakuten MiniでIIJmioのギガプランのeSIMを使おうと計画しています。
ただ、毛流麦花の使っているRakuten MiniはLTE Band 1非対応の個体です。楽天モバイルを契約してRakuten Miniを購入したのも、Band 1対応個体への交換が終了してからであり、交換してもらうことはできません。
ネットを見ると、Band 1非対応の個体をBand 1対応にする方法があるらしいものの、非常にリスキーなので、できればこうした方法は使いたくないです。
IIJmioのeSIMはドコモ網を使っており、ドコモ網でのLTEはBand 1(2GHz帯)、Band 3(1.7GHz帯、東名阪のみ)、Band 19(800MHz帯)を中心にエリア構築されています。果たして、Band 1非対応のRakuten Miniがドコモ網で使いものになるのかどうか、考察してみることにしました。
まず最初に、Band 1非対応のRakuten Miniが対応しているバンドは以下の通りです。
LTE: 3 4 5 18 19 26 28 38 41
WCDMA: 4 5 6 19
総務省から、「『令和2年度携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の評価結果(案)』に対する意見募集の結果及び評価結果の公表」という資料が発表されていますので、こちらの資料を見ていきます。この資料に、ドコモの周波数帯毎の基地局数とカバー率が載っていますので、以下にまとめます。
基地局数(※1) | 人口カバー率 | 面積カバー率 | |
---|---|---|---|
2GHz帯(Band 1) | 77,690 | 98.2% | 35.6% |
1.7GHz帯(Band 3) | 20,437 | 94.9%(※2) | 35.3%(※2) |
800MHz帯(Band 19) | 72,391 | 99.7% | 57.1% |
1.5GHz帯(Band 21) | 30,187 | 75.7% | 25.7% |
700MHz帯(Band 28) | 19,191 | 90.6% | 19.4% |
※1:陸上移動中継局及び屋内小型基地局(1.5GHz 帯:約 1,000 局、1.7GHz 帯:約 600 局、2GHz 帯:約 5,400 局)を含み、フェムトセル基地局を除く。
※2:関東、東海及び近畿総合通信局の管轄区域を分母として用いた場合のカバー率。
出典:総務省「令和2年度 携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の評価結果」
2GHz帯(Band 1)での人口カバー率は98.2%、800MHz帯(Band 19)での人口カバー率は99.7%となっており、Band 1非対応のRakute MiniもBand 19には対応しており、人口カバー率99.7%となる800MHz帯(Band 19)のエリアで使えることになります。
2GHz帯(Band 1)の基地局数は77,690局、800MHz帯(Band 19)の基地局数は72,391局となっており、単純に基地局数だけを比較すると800MHz帯(Band 19)の方が少ないものの、屋内小型基地局(2GHz帯:約5,400局)を差し引くと、2GHz帯(Band 1)の基地局数は72,290局となり、800MHz帯(Band 19)の基地局数とほぼ同じになります。このことから、屋内小型基地局(IMCS等)を含まない、屋外設置の基地局数については、2GHz帯(Band 1)も800MHz帯(Band 19)もほぼ同じ、と考えられます。
繰り返しになりますが、Band 1非対応のRakute MiniもプラチナバンドであるBand 19には対応しており、その基地局数は2GHz帯(Band 1)とほぼ同じであり、実際にはBand 1の基地局もBand 19の基地局も併設されているところが大半なのでは?と考えられるので、「屋外、および屋内であっても屋外の電波がよく入る場所であれば、圏外になる可能性は小さいのでは?」と考えられます。
気になるのは、「屋内小型基地局(2GHz帯:約5,400局)」の存在です。屋内小型基地局については、1.5GHz帯(Band 21)・1.7GHz帯(Band 3)・2GHz帯(Band 1)には対応していても、800MHz帯(Band 19)に対応していないらしい?ので、屋内小型基地局でエリア構築されている場所、具体的には商業施設内とかビル内とか地下街とかで、Band 1非対応のRakuten Miniでドコモ網を使っている場合には圏外になってしまうかもしれません。ただし、Band 1非対応のRakute Miniも(楽天自社回線がBand 3なので)Band 3には対応しており、東名阪エリア内で、かつ屋内小型基地局で1.7GHz帯(Band 3)でもエリア化されていれば、圏外を回避できる可能性があります。(参考:マルチバンド対応の屋内基地局装置および屋内アンテナを開発)
「東名阪であれば、1.7GHz帯(Band 3)の電波が使える」旨書きましたが、ここでいう東名阪とは、正確には「1.7GHz帯東名阪バンド」(法令上は「一・七GHz帯東名阪バンド」と表記)が割り当てられているエリアをさし、具体的には以下のエリアとなります。東京、名古屋、大阪だけではないです。(参考:「電波法第二十七条の十二第一項の規定に基づく一・七GHz帯又は二GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針(平成17年08月11日 総務省告示第883号)」, 「第4世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定申請マニュアル(平成30年1月 総務省)」)
なお、フェムトセルについては2GHz帯(Band 1)のみの対応となっているようなので、フェムトセルでエリア化された場所については圏外になる可能性があります。(参考:LTE対応の超小型基地局「Xiフェムトセル」を開発)
Rakuten Miniはキャッシュレス決済、例えばPayPay、楽天ペイなどのコード決済で使うことがあるので、ドコモ網だとコード決済をよく使う商業施設内やビル内等で圏外になって使えなくなる可能性があるのは致命的かと思います。
まとめると、LTE Band 1非対応のRakute MiniをIIJmioのeSIM、すなわちドコモ網で使った場合、屋外、および屋内であっても屋外の電波がよく入る場所であれば圏外になる可能性は小さいと考えられるものの、屋内小型基地局でエリア化された場所、特に東名阪以外(東名阪バンドが割り当てられている地域以外)、およびフェムトセルでエリア化された場所では圏外になる可能性があると考えられます。
Band 1非対応のRakuten Miniを使うのに適した楽天モバイル以外の回線となると、やはり800MHz帯メインでエリアを構築しているKDDI(au)の回線であると考えられ、IIJmioのギガプランでタイプA対応のeSIMが登場すれば、Rakuten Miniを楽天モバイル以外のeSIMで使う場合の最有力候補になることでしょう。KDDIは現時点ではpovoだけでしかeSIMを提供していませんが、早くMVNO向けのeSIM提供を開始してもらい、IIJにはできるだけ早くタイプAでのeSIM提供を開始してもらいたいですね。
[2021-5-3更新]
IIJmioのギガプランで契約したeSIM(ドコモ網のフルMVNO)をRakuten Miniに設定して、ドコモ網に接続して通信できるか試してみました。屋外で試したところ、圏外になることなく、Band 3/Band 19/Band 28のいずれかのバンドで通信できました。
屋内に関しては、地下鉄や大型の商業施設は大丈夫でしたが、小規模なスーパーの店内など、Band 19がかろうじて入るという場所があり、「このエリアは、屋内小型基地局かXiフェムトセル等、Band1だけでしかエリア化されていないのでは?」と思われました。やはりBand 1非対応のRakuten MiniにはKDDI網の回線が最適で、IIJmioのギガプランでタイプA対応のeSIMの登場が待ち望まれます。
Rakuten Miniを3Gの設定にしたところ、FOMAプラスの電波でつながりました。
Network Cell Infoのスクショを以下に付けておきます。