IIJmioひかりでIPoEオプションを契約した場合に購入することになるであろうDS-Lite対応ルーターについて、調べてみました。@NiftyやSo-netなどのv6プラス、BIGLOBEのv6プラス/IPv6オプション、DTIやNTTぷららのOCNバーチャルコネクト等で使われているMAP-Eに対応したルーターについても記しています。
はじめに
DS-Liteについて
MAP-E(v6プラス/OCNバーチャルコネクト)について
Buffalo
IO-DATA
NEC
ELECOM
NETGEAR
YAMAHA
その他
はじめに
IIJmioひかりのIPoEオプション、@NiftyやSo-netなどのv6プラス、BIGLOBEのv6プラス/IPv6オプション、DTIやNTTぷららのOCNバーチャルコネクトなど、IPv4通信を高速化するオプションサービスを使うことが一般的になってきました。
こうしたIPv4通信高速化サービスを使う際に必要になるのが、対応ルーターです。
IIJmioひかりのIPoEオプションを契約した際にはDS-Liteという方式、@NiftyやSo-netなどのv6プラス、BIGLOBEのv6プラス/IPv6オプション、DTIやNTTぷららのOCNバーチャルコネクトなどを契約した際にはMAP-Eという方式で、それぞれIPv4通信の高速化が行われますが、これらの方式に対応したルーターをメーカー別にまとめました。
なおメーカーのカタログ、ホームページなどでは、これらDS-Lite方式、MAP-E方式を総称して、「IPv4 over IPv6」と記載することもあります。
以下の情報は2019年7月31日時点の情報です。対応機種は今後増加することが見込まれるので、本ページは適宜更新する予定です。
DS-Liteについて
IIJmioひかりでIPoEオプションを契約した場合、DS-Lite対応ルーターを買うことになると思います。
実は、IPoEオプションを契約したらDS-Lite対応ルーターが必須、というわけではありません。IIJmioひかりでIPoEオプションを契約した場合、従来のPPPoE方式のIPv4接続も引き続き利用可能だからです。IPv6に対応したルーターを使っているのであれば、IPoEオプションを契約したら、ルーターのIPv6機能(IPv6パススルー)を有効化した上でIPv6を利用し、IPv4については従来通りPPPoE方式のものを使うことができます。
とは言え、IPoEオプションを契約する理由の多くが「混雑時間帯のIPv4通信を高速化したい」であり、そのためにはIPv4通信をIPv6の回線に流す必要があり、結果としてDS-Lite対応ルーターが必要になります。
なお、DS-Liteの呼称は任天堂のゲーム機みたいですけれども、正式な呼称はDual-Stack Liteで、RFC6333にて規定されています。DS-Liteのことをtransixと呼称することもありますが、同じです。(DS-Lite方式を提供しているインターネットマルチフィード(株)のISP事業者向けIPv6 IPoE接続サービスをtransix(トランジックス)サービスと呼ぶため。)
IPv6/IPoEオプションとDS-Liteは、インターリンクのフレッツ接続であるZOOT NATIVEでも提供されています。
なお、DS-Lite対応ルーターについては、こちらも併せて参照ください。
MAP-E(v6プラス/OCNバーチャルコネクト)について
@NiftyやSo-netなどのv6プラス、BIGLOBEのv6プラス/IPv6オプション、DTIやNTTぷららのOCNバーチャルコネクトを契約すると、MAP-Eという方式で高速なIPv4通信が使えるようになります。
このMAP-E方式では、DS-Lite同様にIPv4通信をより高速なIPv6の回線に流しますが、細かなやり取りがDS-Liteと違っています。正式な呼称は、Mapping of Address and Port with Encapsulation(略してMAP-E)で、RFC7597にて規定されています。
v6プラスを提供している日本ネットワークイネイブラーのここも併せて参照ください。
Buffalo
BuffaloからDS-Lite/MAP-E対応ルーターが発売されています。対応機種一覧は、ここに載っています。
DS-Lite対応かどうかを調べるには、「IIJmioひかり IPoEオプション対応」が製品のパッケージ、もしくはカタログ・メーカーホームページ等で謳われているかを調べます。
MAP-Eに対応しているかどうかを確認するには、製品のパッケージやカタログ・ホームページなどで「v6プラス対応」が謳われているかどうかを確認します。
IO-DATA
IO-DATAについても、DS-Lite/MAP-E対応ルーターが発売されています。対応機種一覧は、ここに載っています。WN-AX2033GR2/WN-AX1167GR2がDS-Lite/MAP-Eに対応しています。WN-AX2033GR/WN-AX1167GR/WN-AX1167GR2についてもファームウェアを最新版にリビジョンアップすれば、使えます。
DS-Lite対応かどうかを調べるには、「IIJmioひかり IPoEオプション対応」が製品のパッケージ、もしくはカタログ・メーカーホームページ等で謳われているかを調べます。
MAP-Eに対応しているかどうかを確認するには、製品のパッケージやカタログ・ホームページなどで「v6プラス対応」が謳われているかどうかを確認します。
NEC
NECについても、DS-Lite/MAP-E対応ルーターが発売されています。対応機種一覧は、ここに載っており、「Aterm WG2600HP3」、「Aterm WG1900HP2」、「Aterm WG1800HP4」、「Aterm WG1200HP3」、「Aterm WG1200HS3」、となります。
DS-Lite対応かどうかを調べるには、「IIJmioひかり IPoEオプション対応」が製品のパッケージ、もしくはカタログ・メーカーホームページ等で謳われているかを調べます。
MAP-Eに対応しているかどうかを確認するには、製品のパッケージやカタログ・ホームページなどで「v6プラス対応」が謳われているかどうかを確認します。
その他レンタル専用らしいですが、ここに載っているWG1810HP(MF)、WG1800HP(JE)というルーターもあります。WG1810HP(MF)がDS-Lite対応、WG1800HP(JE)がMAP-E対応となります。
ELECOM
エレコムから、DS-Lite/MAP-E対応のルーターが発売されています。対応機種一覧は、ここに載っています。「WRC-2533GST2」、「WRC-1750GSV」、「WRC-1167GST2」です。
WRC-1750GSVはWRC-1750GSをIPv6 IPoEに対応させた製品となりますが、既存機種のWRC-1750GSに対して、IPv6対応ファームウェアの提供予定はないとのことです。(参考)
NETGEAR
NETGEARには、まだDS-Lite/MAP-E対応のルーターはないみたいです。6to4、6rdなど他のIPv4/IPv6共存のための規格には対応しているらしいので、その気になれば対応はできると思いますが。(NETGEARのルーターは、Amazon、NTT-X Storeなどで購入可能。)
YAMAHA
YAMAHAからもDS-Lite対応ルーターが発売されています。というか現在発売されているルーター(NVRシリーズ、RTXシリーズ)とファイアウォール(FWXシリーズ)はすべてDS-Liteに対応しています。毛流麦花は、RTX830でDS-Lite接続しています。
なおYAMAHAから発売されているルーターで、MAP-E(v6プラス)に対応しているのは、2018年11月3日時点で、RTX1210/RTX830/NVR510/NVR700Wの4機種となります。(詳細)
楽器やバイクで有名なヤマハですが、実はルーターも製造しています。ヤマハのルータは、BuffaloやIO-DATAのルーターと比べるとあまり存在を知られていないものの、実は法人など業務用途では広く使われており、NTT-X Store、ヨドバシなどで購入可能です。
ヤマハのルーターを使うことで得られるメリットは「高い安定性・信頼性」と「細かく設定できること」です。通信が安定せずに頻繁に再起動する手間に追われる、といった面倒はまずありません。法人などで業務用として広く使われている実績が、すべてを物語っています。自分自身の経験でも、1年間再起動なしで問題なく動作し続けた実績があります、(なぜ1年間かというと、ファームウェアのリビジョンアップに伴って再起動したからです。不安定になって再起動したわけではないです。)Twitterで、数年間再起動なしで使い続けたとのツイート・画面を見たこともあります。(数年間ファームウェアをリビジョンアップせずに使い続けてセキュリティ上問題ないのか、といった話はさておき。)
「細かく設定できること」ですが、例えばBuffaloやIO-DATAの対応ルーターだと、DS-Lite/MAP-E接続時は、リモートアクセスが使えなくなるなどの制限がありますが、ヤマハのルーターであれば、自分でCUI(コマンド入力)設定すれば、DS-Lite/MAP-E経由の通信とPPPoE経由の通信を併用することができ、結果としてDS-Lite/MAP-E接続とリモートアクセスの両方を同時に使うことができます。
毛流麦花は、実際にRTX830で両方(DS-LiteとPPPoE)を併用して使っています。下記記事に書いたので、よろしければご覧ください。
なお「細かく設定できる」ということで、「設定が難しいのでは?」と思われるかもしれませんが、それは過去の話です。最新機種のRTX1210やNVR510、RTX830であれば、BuffaloやIO-DATA、NEC同様、ブラウザから設定して使うことができます。(注: 現状、WebGUI(ブラウザからの設定)はDS-Lite/MAP-E(IPv4 over IPv6)の設定に対応していないようです。そのため、DS-Lite/MAP-E接続を使うには、CUI(コマンド入力)での設定が必須なようです。DS-Lite/MAP-Eの設定もブラウザから設定できるようになるといいなと思います。)
BuffaloやIO-DATAのルーターだと、メーカーが決めた(想定した)使い方しかできませんが、ヤマハのルーターであれば、とりあえずブラウザから設定して使うこととし、「そのままでは使いづらい」と感じたら、その時点で自分でCUI(コマンド入力)で設定変更して使う、といったことができます。要は、融通が利くのです。
ヤマハのルーターのデメリットは「値段が高い」ことです。BuffaloやIO-DATA、NECの無線LANルーターですと、高くても1万円~2万円ほどですが、ヤマハのルーターの場合、最も安いNVR510でも実売4万円ほどしますし、しかも無線LANの機能は付いていません
たしかに値段は高いものの、細かく設定できる等融通が利き、デメリットを補って余りあるメリットがありますし、頻繁に買い替えるものではありませんので、もしもBuffaloやIO-DATAのルーターに不満を感じたら、ヤマハのルーターを検討されては如何でしょうか。この場合、BuffaloやIO-DATAの無線LANルーターはアクセスポイントモードに設定を変更した上でヤマハのルーターと繋げば、無線LANも引き続き使うことができます。
なお、アクセスポイントモードに設定変更した場合、SSIDやパスワードの再設定が必要になる場合があります。自分が使っている無線LANルーター(NECのAterm)もルーターモードからアクセスポイントモードに設定変更したら、SSIDの設定がルーターモードとアクセスポイントモードで別々に保存されるようになっていたため、アクセスポイントモードへ設定変更した後、アクセスポイントモード用にSSIDを設定し直した経験があります。
なおヤマハのルーターをどこで購入するかですが、ネット通販であれば、NTT-X Store、ヨドバシなどで購入可能です。Amazonでも購入できるものの、マーケットプレイスではなくAmazon直販(Amazon本体が販売)の機種は限られます。秋葉原の実店舗で購入するのであれば、愛三電機、ツクモなどが候補になります。
なお購入する場合は、NVR510、RTX830、RTX1210などの最新機種(スループット最大2.0Gbit/s、もしくはそれ以上の製品)を購入することをおススメします。RTX810、FWX120、NVR500、RTX1200などでもDS-Lite接続はできるものの、CPUなど内部的には一世代前の製品(ヤマハルーターのCPUとメモリの一覧)であり、DS-Lite接続時の通信速度が思ったほど出ない可能性があります。実際、以前使っていたFWX120ではDS-Lite接続時の下り速度が250Mbps程度しか出ませんでした。IPv6であれば、600Mbps~700Mbps程度は出ていました。RTX830に買い替えて、DS-Lite接続時の下り速度が600Mbps以上出るようになりました。特にRTX1200の中古は2万円ほどで入手できて魅力的ではあるものの、そのお金は最新機種の購入に回した方がいいです。
(2017.12.18追記)以前使っていたFWX120からRTX830に買い替えた際、RTX830についてレビューしましたので、是非ご覧ください。
(2018.05.24追記)RTX830のファームウェアがアップデートされて、15.02.03になりました。特筆すべきは、DS-Liteに加えて、MAP-E(v6プラス)にも正式に対応したことです。
その他
IIJのSEILシリーズ、NECのUnivergeシリーズ、Ciscoのルーター等もDS-Liteに対応しているものの、自分自身使ったことがなく、さらに個人で新品を入手するのが不可能ではないものの難しく、最新のファームウェアを入手するのが困難な場合がある(Univerge,Cisco)等、個人で使うのには向いていないので、説明を割愛します。
その他のルーターとして、SynologyのルーターがDS-Liteに対応しているとのことなので、ここにリンクを張っておきます。