IIJmio meeting18(東京)に参加したので、特に気になった内容を中心にレポートします。
2018年1月20日(土)にIIJ本社で開催されたIIJmio meeting18(東京)に参加しました。
今回のプログラムは以下のようになります。なお、資料は格安SIMの申し込み・MVNOと青少年保護・MVNOとeSIM (IIJmio meeting 18資料公開)にあります。
(1)IIJmio Updates 2017/10~2017/12
(2)Android 8.1で地震・津波以外の緊急速報(ETWS)が受信可能に?(東京会場のみ)
(3)みおふぉん教室: ご新規入会時の役立つ情報
(4)MVNOの法令遵守と「青少年インターネット環境整備法」改正
(5)eSIMとMVNOの話
(6)フリートーク
■(1)IIJmio Updates 2017/10~2017/12
前回のIIJmio meeting以降の出来事・新着情報です。新規取り扱い端末、新規オプションサービス(IIJmio WiFi byエコネクト、スマート留守電、など)、長期利用者向け特典である長得の開始、などがありましたが、最大のトピックは「2017年12月3日にIIJが創立25周年を迎えたこと」でしょう。IIJ創立25周年とは、すなわち日本のインターネット25周年というわけですから。
IIJ創業者である鈴木幸一氏の著書「日本インターネット書紀 この国のインターネットは、解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった」を読みましたが、創業時のIIJは今のIIJからは想像もできないようなみすぼらしさだったとのことです。幾多の困難もあったけれども、鈴木幸一氏の信念でここまで成長したものと考えています。
黎明期のインターネットということで話がそれますが、自分がインターネットに初めて触れたのは1992~1993年頃、大学の計算機室でした。Sun Microsystemsの端末(SPARC station, SunOS)、SONYの端末(NEWS, NEWS-OS)、NeXTstation(NeXTSTEP OS)、DEC(Digital Equipment Corporation)の端末(DEC station, Ultrix)などで、ネットニュースを見たり、eメールなどをしていました。現在とは違ってWebブラウザはまだ一般的でなく(初めてのWebブラウザであるNCSA Mosaicが誕生したのは1993年)、ネットニュースにしてもeメールにしても、UNIXのコマンドで操作する時代でした。インターネット以外のネットワークとしてBITNETもあり、IBMの端末(たしか5550)で使っていました。この頃だと、パソコンはNEC PC-9800シリーズ、OSはMS-DOS+Windows3.0/Windows3.1が一般的であったものの、パソコンでインターネットを使うのはまだ一般的ではなく、一般的になったのはWindows95以降です。(Windwos 3.xでインターネット接続を使うためには、Trumpet Winsock(シェアウェア)を使う必要があるなど結構面倒だった。)
BITNETの話ですが、BITNETは”Because Its Time-sharing NETwork”の略だと長年思っていたし、当時そのように言われていたように思うのですが、Wikipedia(日本語・英語)の説明だと、”Because It’s There Network”、”Because It’s Time Network”の略だとされており、「そうだったっけ?」と思っています。
スウェーデン関連のやり取りや情報入手のために国際郵便や短波ラジオなどを使っていた頃にインターネットと出会い、eメールでスウェーデン人と直接メールのやり取りができたり、ネットニュースで外国の情報を直接入手できることに感銘を受け、熱中したことを今でも覚えています。
話がそれましたが、インターネット黎明期に登場して大きく成長したIIJには、日本のインターネットのパイオニア的存在として、他の事業者よりも一目を置いていますし、これからも頑張って欲しいと思っています。
多数の祝花が置かれていました。
■(2)Android 8.1で地震・津波以外の緊急速報(ETWS)が受信可能に?(東京会場のみ)
Androidでの緊急速報(エリアメール、エリア速報メール)の共通仕様が策定されて、Android 8.1以降であれば緊急地震速報(地震・津波)だけでなく、自治体の防災情報やJアラートなども受信できるようになるという話です。
面白いのが、基地局シミュレータを使って実際に緊急速報を端末に受信させてみて、端末の挙動を確認するところで、動画で見れます。こういう情報を積極的に公開するところは、非常にIIJらしくて良いと思います。
詳細資料・動画は、Android 8.1で地震・津波以外の緊急速報(ETWS)が受信可能に?で見られます。
ちなみにiPhoneは、キャリア版・SIMロックフリー版のどちらも、緊急地震速報、自治体の防災情報、Jアラートのいずれも受信できるので、問題ありません。
■(5)eSIMとMVNOの話
eSIMの話です。面白くてためになる話で、スライドも非常にわかりやすいので、スライドを使いながら話をまとめます。
まずSIMの概略は、以下のようになります。ICクレジットカードのICもSIMカードのICと同じ規格で国際化されていることは初めて知りました。
(1)SIMカードは物理的には接触型ICカード(ICC)として国際的に規格化されており、ICクレジットカードやICキャッシュカードもこれに該当する。
(2)通信端末に使うための規格に則ったSIMカードを特にUICCと呼び、通常はこれをSIMカードという。
(3)SIMカードには、1FF(オリジナルのICクレジットカードサイズ)、2FF(標準SIM)、3FF(マイクロSIM)、4FF(ナノSIM)の4種類のサイズがある。
eSIMの概要は以下のようになります。リモートSIMプロビジョニング(RSP)は、遠隔でSIMの内容を書き換えることを意味します。Apple WatchのeSIMは、(2)に該当するのだろうと思います。
(1)eSIMの本来の定義は「UICCのうち、標準化されたOTAによるリモートSIMプロビジョニング(RSP)に対応したSIM」となる。
(2)標準化されていないリモートSIMプロビジョニング(RSP)に対応したSIM(例:Apple SIM)は厳密にはeSIMではないが、eSIMの一種として扱われる場合がある。
(3)組み込み用途のSIM(embedded SIM)については、基盤にはんだ付けできるSIMとしては、別に電子部品としての物理規格(MFF2)が存在する。
RSPの標準化は、IoT等M2M(Machine to Machine)向けとスマホ等コンシューマー向けとで別々に行われています。
M2M向け、例えば清涼飲料水の自動販売機のeSIMをイメージすると、eSIMの書き換えは、中央側から一括で行うことが想定されており、そのようなシーケンス(PUSH型)になっています。
コンシューマー向け、一例としてスマホに内蔵されたeSIMをイメージすると、eSIMの書き換えはスマホのユーザーが例えば海外に到着して現地SIMに「入れ替える」ために何らかの操作を行って書き換えることが想定されており、そのようなシーケンス(PULL型)になっています。
プロファイルをどのようにして見つけ出すかという話です。
SM-DP、SM-DP+とかSM-DSとかいう言葉を覚えておくと、今後eSIMが一般化した暁に詳細設定等を確認する際の理解の一助になりそうです。
eSIMをどのように実装(実現)するかという話です。スマホを例にして言うと、既存のSIMスロットはそのままで、RSPで内容を書き換えられるSIMカードを挿入して、スマホ画面で操作して書き換える、でもいいですし、SIMスロットを廃止して、既存のSIMカードに相当するものをスマホ内部に持たせてもよいわけです。SIMカードに相当するものをスマホ内部に持たせる方法も複数通り考えられるという話です。
CPU内部にSIMカードに相当するものを持たせて、標準化されたRSPで書き換えを行う、というのが一番スマートなように思います。
以上eSIMについて学びましたが、最大の関心事は「いつになったら使えるの?」でしょう。マイクロSIMにしてもナノSIMにしてもAppleが先陣を切ったわけであり(iPhone4でマイクロSIM、iPhone5でナノSIM)、eSIMについてもAppleが先陣を切って導入するのではないかと勝手に推測しています。
CPU(iPhone8がA11なので、その後継のA12かA13)の内部にSIMカードに相当するものを持たせて、iOSにRSPの機能を用意して、eSIM対応にするというのが考えられるパターンです。
eSIMが普及すれば、SIM入れ替えのためにSIMピンを持ち歩く必要がなくなるし、「静電気でSIMをダメにしないように」と体内に溜まった静電気を(ドアノブなどに触って)放電させてから慎重にSIMカードを入れ替えるという面倒もなくなる、SIM入れ替えが非常に簡単になる(QRコードを読み込ませて、画面を数回タップするだけ)、等々と幾多のメリットが考えられます。とても楽しみです。
■(6)フリートーク
質問に対してIIJが回答するコーナーです。全45件のうち、特に気になったものを記します。
自分が投げた質問です。IIJはクラウドサービスをやっており「影響があるはず」と考えたものの、同業他社と違って、本件(CPU に対するサイドチャネル攻撃)に関するプレスリリースが見つからず、気になって質問しました。「IIJ GIO等クラウドサービスは、本CPU脆弱性問題の影響を受けるため、順次対策を進めている」とのことです。なおルーターであるSEILについては、「任意のプログラムを実行する機能がないため影響なし」とのことです。
これについては、「オンスケ(予定通り)で進んでいる」とのことで、次回IIJmio meetingまでには何らかの発表が期待できそうです。
特定の場所、あるいは緊急地震速報鳴動後に圏外になったという話です。(似通った内容なので、まとめました。)これについては、わからないとのことです。極端な話「IIJの設備がすべてダウンしても、圏外にはならない(通信ができなくなるだけ)」とのことです。自分も遭遇しましたが、何やっても圏内にならず困りました。モバイル回線冗長化用としてUQ mobileのSIMも持っており、そちらは通信できたので、「まったく通信できない」事態は回避できましたが。なお、3Gと4G(LTE)とでは、制御信号やり取りの仕組みが全く違うので、「ガラケーは圏内だった」は今回の話とは関係ありません。