IIJmioひかりでIPoEオプションを契約してみました。
自宅でIIJmioひかりを使っています。ネット上では「mioひかりは遅い」と酷評されていますが、自分のエリアでは混雑時間帯でも最低20Mbps程度、空いている時間帯なら600Mbps程度出ており、特段の問題を感じていないものの、IPv4 onlyの環境で何も進化がないのもつまらないので、IPoEオプションを契約して、IPv6(IPoE接続)とIPv4(DS-Lite接続)を試してみることにしました。
なお「mioひかりが遅い」という話、そのようなエリア(概ね都道府県単位)があるのは事実です。なので新規にmioひかりを契約しようとする場合は、ネット上での情報収集に併せて、実際に遅かった場合に備えて、IPoEオプションについても契約前に調べておくことをおススメします。(IIJmioひかりの混雑の理由とバイパス手段(IPoE・DS-Lite対応))
IPoEオプションを契約するに先立って気になったのが、「自宅へのリモートアクセスを使い続けることができるかどうか?」です。IPv4環境についてDS-Lite経由のものしか使えなくなってしまうと、自宅へのリモートアクセスができなくなってしまい、困ります。ということで、TwitterでIIJmioの中の人に確認したところ、IPoEオプションを契約した場合、IPv6(IPoE)、IPv4(DS-Lite)だけでなく、IPv4(PPPoE)も同時使用(同時接続)が可能とのこと。安心して、IPoEオプションを契約しました。
素のmioひかりはFiberAccess/DFとは異なり、IIJから払い出されているPPPoEアカウントでの複数同時接続ができないのに対し、IPoEオプションを契約すると、FiberAccess/NF同様に、IPv6(IPoE)、IPv4(DS-Lite)、IPv4(PPPoE)3つの同時接続が可能になるわけです。IPoEオプションの月額800円の料金は、FiberAccess/NF相当にアップグレードするための料金と考えれば、納得がいきます。依然として、フレッツ契約+FiberAccess/NF契約よりも安いわけですし。
契約後、2日でIPoE接続が使えるようになりました。
まずルーターの設定です。自宅で使っているヤマハのFWX120はIPoE接続のIPv6、DS-Lite接続のIPv4のどちらにも対応しており、特に難しいことはありませんでした。(DS-Lite IPv4接続オプション接続確認機種情報、IPv6ネットワークを介したIPv4通信)
なお、設定に際しては、速度に大きく影響するMTU値も設定することを推奨します。IPv6(IPoE)は1500、IPv4(DS-Lite)は1460、IPv4(PPPoE)は1454、がそれぞれMTUの推奨値です。
IPv4については、PPPoE経由のものとDS-Lite経由のもの両方を同時に使えるので、タグ付VLANを用いて、VLANを設定しました。すなわち、L2スイッチのポート毎にDHCPで払い出されるネットワークアドレスを違えるようにし、それを見て、ip routeコマンドで「このネットワークアドレスのパケットはPPPoE側へ、このネットワークアドレスのものはDS-Lite側へ」と振り分けるようにしました。こうすることで、PPPoEのIPv4とDS-LiteのIPv4とを簡単に切り替えることができ、自由に使い分けることができます。詳しくは下記記事を参照ください。
スピードテストをしてみました。とある土曜日の早朝、日中、夜間に行っています。テストアプリはookla speedtest、測定サーバーはIPv4(PPPoE)の時はdenpa893、IPv4(DS-Lite)の時はSoftEtherに設定し、すべて有線LAN接続(Gigabit Ethernet)したパソコンで、下り速度とping値を計測しています。
土曜日朝4時台 IPv4(PPPoE):下り570Mbps-5ms、IPv4(DS-Lite):下り275Mbps-5ms
土曜日朝5時台 IPv4(PPPoE):下り561Mbps-4ms、IPv4(DS-Lite):下り276Mbps-5ms
土曜日昼15時台(1) IPv4(PPPoE):下り241Mbps-5ms、IPv4(DS-Lite):下り278Mbps-5ms
土曜日昼15時台(2) IPv4(PPPoE):下り296Mbps-5ms、IPv4(DS-Lite):下り262Mbps-5ms
土曜日夜20時台 IPv4(PPPoE):下り38.1Mbps-30ms、IPv4(DS-Lite):下り271Mbps-5ms
土曜日夜22時台 IPv4(PPPoE):下り37.8Mbps-30ms、IPv4(DS-Lite):下り276Mbps-5ms
IPv4(PPPoE)は速い時は速いけれども時間帯によって山谷が激しいのに対し、IPv4(DS-Lite)は時間帯に左右されず、速度が安定しているのがわかります。なお、IPv6(IPoE)については、時間帯にあまり左右されることなく、下り500Mbps~600Mbps程度で安定しています。(IIJmio IPv6スピードテストサイトにて計測)
なお、IPv4(DS-Lite)の下り速度がどれも下り270Mbps程度になっている、というか飽和していますが、この速度はCGN(AFTR)装置で帯域制限をかけていることによるものではなく、ルーターFWX120のDS-Lite(IPIPトンネル)の処理能力(スループット)の限界によるものと考えています。というのも、最新製品のRTX1210やNVR510でDS-Lite接続してスピードテストした結果を見ると、どれも下り500Mbps~700Mbps程度は出ているからです。
ですので、DS-Lite接続のためにヤマハのルーターを新規に購入する場合は、NVR510やRTX1210やRTX830、もしくはこれらよりも新しい製品を購入することをおススメします。FWX120やRTX810、RTX1200でもIPv6(IPoE)やIPv4(DS-Lite)には対応しているものの、IPv4(DS-Lite)の速度がネックになってしまいます。(ヤマハルーターのCPUとメモリの一覧)
かく言う自分も、RTX830を購入しようと考えています。スペック的にはRTX1210かNVR510のどちらかでも構わないものの、RTX1210はオーバースペック(ISDN対応は不要)で値段が高すぎるし、一方のNVR510は機能不足(IPsecの拠点間接続に未対応など)だからです。